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令和2年度卒業式 校長式辞

2021年03月19日


令和3年3月17日に挙行いたしました卒業式における、式辞の全文を掲載いたします。

 

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式辞

 

 本日、呉竹医療専門学校から、新たな一歩を踏み出さんとしている皆さん。呉竹医療専門学校を代表して、心からお祝いを申し上げます。新型コロナウィルスの流行により数々の行事が中止されている最中で、卒業式を挙行できますことは、私たち教職員及び在校生にとっても大きな喜びであります。

 

 また、この日まで長きにわたり皆さんの勉学を支えてこられた保護者の方々には、ご卒業をお慶び申し上げますと共に、これまで私どもが賜りましたご理解とご協力に深く感謝申し上げます。有り難うございました。

 

 この1年間は、世界的に猛威を振るっている新型コロナウィルス感染症。この未知のウィルスによって、私たちの日常の生活はもとより医療分野でも急激な変化を余儀なくされました。

 

 本来であれば、この日を迎え、卒業生の皆さんの脳裏には体育祭や呉竹学園祭の思い出、また、授業での実習など印象深い場面が甦り、これら全てが「経験」という貴重な財産になるはずでした。しかし、人との接触をことごとく避けなければならない状況下では、体育祭や呉竹祭は中止に追いやられ、勉学も不十分なものになってしまいました。皆さんの心のどこかで周囲を気にしたり、或いは、将来に漠然とした戸惑いや不安を感じつつ、過ごしていたのではなかったでしょうか。皆さんがこの呉竹医療専門学校で過ごした最後の1年間に、心残りや物足りなさを感じておられるのではないかと案じております。

 

 日本で最初の新型コロナウィルス感染症の患者が確認されたのが、昨年の1月16日でした。私が同年の2月14日に診察した患者さんが2日後にPCR検査陽性と判明し同時に肺炎で入院しました。その後は濃厚接触者の定義は、PCR検査の該当者は、などなど行政との考え方のズレにしばしば戸惑わされ続けております。全国のICUの医療スタッフは、終わりの見えない流行に疲弊と、自身が感染するかもしれない不安を感じつつも、日々献身的に働いています。その一方で、オンライン診療が政府から推奨され、若手の医師と若い患者さんには好評です。しかし、期待された程にはオンライン診療は普及しておりません。やはり、心と体の触れ合いがなければ、患者さんは良くならないのです。

 

 皆さんが卒業した後の先生は、この患者さん達です。日々の診療のなかで、浮かんだ疑問はその日のうちに調べて下さい。また、症状の変化や、チョットした患者さんとの会話も、色々なことを教えてくれています。ですが、気を付けていないと、通り過ぎてしまいます。いつまでも患者さんから学ぶ姿勢を、忘れないで下さい。

 

 最後に、勇気が出る言葉を皆さんに贈ります。長嶋茂雄監督や松坂大輔投手など真に実力のある人達に、この格言を愛する方が多いです。社会教育家、後藤静香の詩集「権威」に納められている言葉です。

 

 

本気にすれば 大ていな事は出来る。

本気ですれば なんでも面白い。

本気でして居ると 誰かが助けてくれる。

人間を幸福にするために

本気で働いて居る人間は

みんな幸福で

みんなえらい。(注1)

 

 

 社会に出ると、呉竹の卒業生は優秀、と期待されます。呉竹の名前に負けず、一目置かれるように、頑張ってください。それでも気弱になった時には、この言葉を思い出してください。学校のホ−ムペ−ジにアップしてくれるように頼んでおきます。

 

 医療は、卒業がスタ−トラインで、毎日が勉強です。皆さんが今後、益々飛躍されることを期待しています。

 皆さんの前途に幸多からんことを心よりお祈りし、式辞といたします。

 改めて、本日は誠におめでとうございます。

 

令和3年3月17日

呉竹医療専門学校 校長

松原 哲

 

注1)後藤静香(ごとうせいこう)『権威』(希望社出版部1927年)から「本気」より引用。


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