2023年03月13日
令和5年3月13日卒業式での校長式辞全文を掲載いたします。
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式辞
皆さん、ご卒業おめでとう御座います。
大きな桜の木が大宮駅操車場跡にありまして、電車は一瞬で通過してしまいます。桜は早咲きでもう満開を過ぎましたが、早咲きのサクラにつづくソメイヨシノは蕾を大きく膨らませて、確かな春の訪れが感じられる今日のこの良き日を迎えることができました。
今回は来賓の皆様のご臨席を賜り、久々に盛大な卒業式を挙行できますことは、卒業生はもとより、私たち教職員及び在校生にとっても大きな喜びであります。
保護者やご家族の皆様におかれましては、新型コロナウィルスの流行がまだ完全には収束しておらず、卒業式の様子は後日にビデオ配信となりますが、心配ごとの絶えなかったこの3年間を支えて下さった皆様に、ご卒業をお慶び申し上げますと共に、これまでの学校へのご理解とご協力に深く感謝を申し上げます。有り難う御座いました。
さて、本日、呉竹医療専門学校から新たな一歩を踏み出さんとしている皆さん、改めて呉竹医療専門学校を代表して、心からお祝いを申し上げます。
「卒業おめでとう御座います」
振り返ると皆さんの入学と同時に新型コロナウィルスが流行し、入学式は中止に、授業がオンライン形式にとなり、皆さんも、学校も、手探り状態での出発でした。恒例の新学期スポーツ大会や学園祭も中止となり、クラスメートとも満足に交流ができないまま、新型コロナウィルスの流行に度々襲われ、「先の見えない不安のなかで」、「当たり前のこと」が体験できない3年間を過ごしました。とても残念なことでした。しかし、それは皆さんだけの事ではありません。日本だけでなく世界中の学生達がキャンパスライフを満喫することなく巣立ちます。辛かったのは皆さんだけではありません。ですが、皆さんは想定外の環境の中で精一杯の工夫と、新たな体験に沢山関わる事ができたと思います。東京工業大学の池上彰教授は、「ものは考えようで、苦難を経験したからこそ、皆さんは精神的に大きく成長したはずです。」と述べています。また、ある若手実業家は「先が見えた人生の方がよっぽど怖い。成功する、しないは抜きにして、先が見えないからこそ考え、努力し、前に進める。もし先が見えたら、何も考えずに流されて行くだけになってしまう。」と語っておられました。諺にもあるとおり「禍(わざわい)転じて福と為す。」 この3年間の禍を、自らの力と発想の転換で福に変えてください。
最後に、いつもは社会教育家 後藤静香氏の詩(注)
『本気にすれば 大ていな事は出来る。
本気ですれば なんでも面白い。』
を送る言葉としておりましたが、今回はわたくし自身を励まして来た言葉を皆さんに送ります。二つあります。これまでの沢山の失敗から体得しました。
まずは、「押してもダメなら、引いてみな。」思い詰めたり、行き詰まった時に、窮地を救ってくれるのは発想の転換です。
次が、「人に頼らない。人を恨まない。」硬くいうと「自主独立」です。待っていては誰も助けてくれません。自ら責任を持って行動を起こすことで、チャンスは訪れます。
これから皆さんは社会人一年生になります。どの世界でも一年生は「知らない」が言えて質問できることと、「事故に繫がらない失敗」は許されます。恐れずに挑戦をつづけてください。
皆さん、呉竹の卒業生は凄いと一目置かれるようになりましょう。
医療は卒業がスタートラインで、毎日が勉強です。そして、患者さまがこれからの先生です。知らなかった事は、その日の内に調べておきましょう。皆さんが今後、益々飛躍されることを期待しています。
皆さんの前途に幸多からんことを、心よりお祈りして式辞といたします。
本日は、誠におめでとう御座います。
令和5年3月13日
呉竹医療専門学校 校長
松原 哲
(注)後藤静香著『権威』より「本気」