2016年06月16日
会期前後はあいにくの天候でしたが、会期中は晴天に恵まれ絶好の学会日和の中、平成28年6月10日〜12日の3日間、全日本鍼灸学会学術大会 北海道大会が開催されました。
本学会は、鍼灸研究や鍼灸の今後を考える上で重要な学会です。
本年度の学会テーマは、「これからの日本の医療を担う鍼灸〜鍼灸治療と医療連携〜」でした。
今後高齢化が進む中で”在宅医療”はますます重要となり、また、日常生活圏域(30分でかけつけらえる圏域)での医療・介護の連携強化を図る”地域包括ケアシステム”も本格化され始めています。
そのような背景の中、本学会のテーマである”医療連携“は非常に重要なテーマとなってきます。鍼灸医療においてはまだまだ医療連携についての課題は多いと言えますが、患者さんにとって有益な貢献を考えるためにはとても重要なテーマです。
本校および姉妹校教職員も本学会に参加し、活動報告や研究発表を行って参りました。
「国民のための鍼灸医療推進機構(AcuPOPJ)※報告」において、本学園理事長坂本歩先生が座長を務めました。機構では、鍼灸が国民のために何が出来るのか、どのような貢献が求められているかについて検討することを目的とし、当然のことながら医療連携も重要な課題の一つです。
また、報告の一つとして、三浦洋先生(AcuPOPJ研修作業部会)が「AcuPOPJ鍼灸師卒後臨床研修報告-現状と普及について-」を報告致しました。AcuPOPJにおいて卒後臨床研修は柱の一つとして掲げられ、広がりつつある研修の実際が報告されました。
発表としては、施術所職員中野正平先生(共同発表者:畠山博式先生、佐俣忍先生、藤田洋輔)が「呉竹医療専門学校附属施術所の卒後教育への取り組み」のポスター発表を行いました。
AcuPOPJ同様、本校においても卒後研修に力を入れており、次世代の地域医療の担い手育成に力を入れています。発表時はフロアーの先生方との活発な意見交換を行うことができ、今後の課題が考えられた実り多い発表となりました。
同じくポスター発表として、畠山博式先生が共同発表者として名を連ねた、姉妹校教員・学会安全性委員会委員・上原明仁先生による“多施設における有害事象の現状”についての発表が行われました。委員会による一連の本研究は、日本鍼灸の安全性の現状を考察し、更なる標準的な予防策を検討する上で重要な取り組みです。
また、当学園が新たに取り組んでいる“国家試験予備校《kuretake塾》”における演習問題作成の取り組みについて、姉妹校教員・山村聡先生、上原敏子先生が発表された2演題に当校坂本收司先生が共同発表者として名を連ねました。当然のことながら、国家資格は業を行う上でスタートラインとなる大切な一歩です。本学園では学生や卒業生に対し、本研究での結果を踏まえてより個々に合わせた教育を検討しています。
筆者藤田が研究指導を行った、姉妹校東京医療専門学校本科3年生・山内美代子さんが「手指・手掌による接触刺激が自律機能に及ぼす影響-押手操作での触れる要素の生理的検討-」と題した学生ポスター発表を行いました。本研究は、今まで研究では注目がされていない“押手”に着目した研究であり、今後も更に検討の余地がある研究と考えます。山内さんは緊張の中、しっかりと質疑にも応答し大変良い発表でした。
その他、症例報告を中心とした「複合領域」発表のセッションの座長として、三浦洋先生が登壇されました。
全日本鍼灸学会は、研究の面から今後の鍼灸を検討する重要な場であると言えます。来年は東京で開催されますので、本校卒業生・在校生の皆さま、また、広く鍼灸師の皆さま、学会でお会い出来ることを楽しみにしております。
報告:鍼灸附属施術所担当教員 藤田洋輔
※国民のための鍼灸医療推進機構(AcuPOPJ)」とは、鍼灸の職能団体(公益社団法人日本鍼灸師会・公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会)、学会(公益社団法人全日本鍼灸学会)、教育機関(公益社団法人東洋療法学校協会)の4 団体が協力し、また厚生労働大臣指定試験登録機関である公益財団法人東洋療法研修試験財団に事務局を設置し設立した任意団体です。
・国民のための鍼灸医療推進機構:http://www.shinkyu-net.jp/index.html
・公益社団法人日本鍼灸師会:http://www.harikyu.or.jp/
・公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会:http://www.zensin.or.jp/
・公益社団法人全日本鍼灸学会:http://jsam.jp/
・公益社団法人東洋療法学校協会:http://www.toyoryoho.or.jp/index.php