2015年11月20日
晩秋の雨模様で肌寒くなった11月8日(日)。平成27年度呉竹医療専門学校公開講座が開催された。
53名の参加者の寒さに負けない熱視線の先には、アコール鍼灸院院長で、埼玉県鍼灸師会会長である河原保裕先生。
テーマは『中医鍼灸・弁証論治をやってみよう!』〜診察から治療の進め方〜
弁証論治とは、中国(漢方)医学における診察の流れのことだ。
患者様の訴えに対して、見て(望)・聞いて(聞)・問うて(問)・触れて(切)分かった事(弁別)から診断(症=証)する。中国医学の特徴には診断した証に対応した治療方法があることだ。よって、証に対する論理に基づき治療(論治)する事が弁証論治である。
中国医学における診断において、河原先生は次の3点を協調されていた。
1)患者様の主な訴え(主訴)に基づき医療面接をしよう。
2)生理的状態から逸脱してる病態を東洋医学的にイメージしよう。
3)中国医学の漢字の羅列なんか、病態をイメージ出来たら後付けで知れば良い。
そんなメッセージを背景に、聞く者の肩の力を抜かせてくれた。
河原先生は、鍼灸初学者にも分かり易いように、症例を用いながら中国医学の診察の流れと病態の把握の仕方を分かり易く説明してくれた。教員である私自身が学生の時にこんな説明を聞けたら、凄く分かり易かったな。私の授業でもこんな風に学生に説明出来たら同じ感動を共有できるのかな…。と、半ば自身の能力不足を棚に上げて、河原先生に嫉妬したくなるようだった。
閉会に際して、河原先生の中国医学を志したきっかけが印象的だった。先生曰く。「中国医学は常に、事象に対して理屈が付随する論理性があり、それは診断出来たら誰でも同じ様に治療が出来るという事。誰でも出来る中国医学なら、自身でも治療が出来るのではないか。」
あの瞬間に聴講していた全ての人に、僕でも私でも出来るのかな…。と、勇気づけられる箴言だったのではないだろうか。
最後に、私自身、中国医学の本質は本来論理的だけれども、中国医学に持つこんがらがったイメージやモヤモヤ感があった。それを快刀乱麻を断つかの如く、クリアにしてくれて、長年の便秘と痞(つか)えがスッキリする程の明快な講演だったように感じた。そして、このような貴重な講演を在校生はもちろん、多くの卒業生も聴講してくれたことが嬉しい出来事だった。
以上
文責:鍼灸科教員 西岡岳之